今日も一日EWIより

サックスやクラリネットよりも手軽に始められる電子管楽器EWI。でもやっている人が少なくて謎に満ちた楽器でもあります。そんなEWIの魅力にとりつかれたEWIおじさんたまおじがEWIの奏法(吹き方)を勉強して読者の皆様と一緒にリアルタイムで上達していこうというブログです。練習に使える伴奏曲も掲載します。

第五号 EWIのマウスピースの咥え方(くわえかた)

みなさん、こんにちは。前回のEWIの音の選択はお楽しみいただけたでしょうか。

ewiyori.hatenablog.com

前回は長時間練習するのに息をあまり必要としない、疲れない音ということで、16番、19番、88番を紹介しました。ほかにもお気に入りの音が見つかると良いですね。

 

この息の問題ですが、管楽器は全てそうかもしれませんが、EWIでも実はしっかり考えないといけない問題です。伝統的な管楽器と違って簡単に電子的に音が出るから、マニュアル通りにやればいいでしょう?

 

と私は思っていたのですが、ひどい目にあいましたので、マウスピースの咥え方(くわえかた)について考えたいと思います。私は軽く考えていたので、やってからしまったな~と思ってしまいました。みなさんは曲の練習を始める前にぜひ考えてください。

 

3種類の咥え方ーどうくわえても音は出るEWI

EWIを買ってきて箱を開けたとき、これさえ読めばすぐ音が出るように、と作られたのでしょう、『簡単初めてガイド』という厚手の紙一枚に印刷されたマニュアルがあります。

実際は電池の入れ方の説明を忘れているので、これ一枚では音が出ないのですが、これにはまじめに、

 

・「マウスピースを1cmくらい『唇で』くわえ、息を入れます」

と書いてあります。なるほど、で挟むのか~

 

それでいいのかなと思ったので、更にEWI Master Bookを見ると、

 

・「マウスピースは両方ので噛みます。しっかりと噛んでしまうのではなく、あまり強く噛みすぎないようにしましょう」(37ページ)

・「EWI歯、ストラップ支持部、右手親指の三点支持で楽器を支えます」(59ページ)

と書いてあります!

 

「歯」でかむ、強く噛まない。甘噛みでしょうかね~。

 

歯で楽器を支えるんですね~

 

待て待て、「簡単初めてガイド」では「唇」でくわえる!と書いてあったじゃん?

 

矛盾です。どちらを信じればいいのでしょう?

 

また、サックスやクラリネットの管楽器を知っている方は、え?どっちもおかしいでしょ?と思ったことでしょう。もう一つの咥え方があるのです。

 

歯で噛んでいたら、三日で歯がガタガタに

さて、EWI Master Bookはプロの宮崎隆睦氏が監修するAKAIの公式テキストですから、嘘を言っているとは思えません。きっと「簡単初めてガイド」は最初の音出しをささっとやってほしいから、適当に唇でくわえてね~となっていたのでしょう。

 

そう思って盲信して「あまがみあまがみ~歯を使って三点支持~」と練習をしていたら、三日で歯と歯茎(はぐき)がガタガタになりました(笑)。

 

正確にいうと歯茎が痛くなって、もう楽器を触りたくなくなりました。

 

EWI、悲しいことに週に1,2本ヤフオクで売られています。しかも5000や4000swのきれいなやつです。EWI Master Bookがついていたりします。

 

EWIは買う人も多いですが、やめる人も多いようです。もしかすると、このくわえ方に原因があるのかもしれない、と練習を始めて四日後に思いました。

 

よく考えれば歯で重いEWIを支持するのはおかしい

さて、原因はEWIが重いことにあります。乾電池を入れるEWI4000、手で持っても結構重量があります。

 

重さはストラップで受け止めるべきですが、最初の数日~数週間はストラップの長さがどんぴしゃ決まらないことでしょう。私も1週以内に三回長さ調整しました。

 

その間、楽器がぶれないようにどうしても歯でがっしりとマウスピースを噛んでしまいます。

 

また息を吹き込む動作にも慣れていないので、どうしても力んでしまいます。そうするとますますがっしりとマウスピースをくわえることになります。

 

そして歯ぐきが痛くなり、ヤフオクへと楽器が直行・・・するのかもしれません。EWI Master Bookつきで出品されていることが多いので、本当にそうなのかもしれません。

 

実はサックス・クラリネットの吹き方

4日目に悩みました。試しにただ唇でくわえて、ふーと息を吹き込むとちゃんと音が出るではないですか!

 

EWIは物理的な空気の流れで音を作っているわけではなく、マウスピースの中にあるセンサーが息に反応して電子的に音を出しているので、実はどんな風でもそこに吹き込まれればいいんです。

 

え、唇でくわえてもいいんじゃん!?「簡単初めてガイド」は適当なことを言っているわけではありませんでした。

 

打開策として、図書館に行ってサックスやクラリネットではどう吹いているか読んでみました。彼らはどうやって長時間楽器を吹き続けられるのか、ヒントがあるはずです。

すると、

 

・「上の歯は直接マウスピースに当てる。当てる場所はマウスピースの先端から1cm前後。自然な状態で(上唇を)マウスピースにそっと置く。」

・「このとき力は入れないこと。下の歯は上の歯と違って、マウスピースには当てない。下唇を少し下の歯に被せる感じになる。ちょうど英語の「V」という発音をした時くらいに下唇を巻き込む。下唇の肉がちょうど上の歯と下の歯のクッションになるようなイメージで力を入れすぎないように!

・「食べ物を噛むようなイメージを持ってしまうと下唇が痛くなってしまう。」(以上、「サックス入門ゼミ」河原塚ユウジ編著 自由現代社15ページ)

 

と書いてあるではありませんか!特に最後の食べ物を噛むようなイメージを持つと・・・というところが下唇と歯茎の違いはありますが、よく当てはまる気がします。

 

かみかみしてはいけない!!

 

サックス・クラリネット吹きが長時間練習に向いている

試しに家でEWIクラリネット・サックス吹きをしてみると、ちゃんと音が出るではないですか。しかも、かんでやっていた時と同じ音量か、あるいはもっと大きい音が出ます。次回、詳しく書こうと思いますが、息を横に漏らす動作も楽にできます。

 

これだ!これです。

 

長時間練習しても歯も歯ぐきも痛くなりません。下唇が上下の歯の『クッション』になっているのです。

大事なことなのでもう一回書くと(今日はビデオがありませんので)、下唇が上下の『クッション』になっているのです。

 

クッションがなければ歯や歯ぐきが痛くなるの当たり前ですよね~!?マウスピースは食べ物じゃないし( ^ω^)・・・

 

しかし最初の1週間でかなりダメージを負ったのか、歯ぐきの痛みはその後1週間くらい続いて、ようやくなくなりました。

 

宮崎様、すみません、貴殿の書かれたことを私はポイっと捨てることにしました(笑)。EWIヤフオクでポイっと捨てるよりいいじゃないですか。

 

噛む動作はビブラートをかけるのに必要らしいが

さて、何でマウスピースを噛め!というのか、どんな咥え方をしても音が出るのにおかしいな、と思ってよく調べると、どうやら、マウスピースを強く噛むとビブラートがかかるらしいです。

 

ビブラートがかかる・・・

 

はい!ただそれだけです。それだけのために大事な歯と歯茎がボロボロになったら大損じゃないですか?エレキギターでいえばチョーキングの練習をして指を骨折して二度とギターが弾けなくなった!くらいの大ダメージです。

 

そんなことだけのためにEWI吹きになるのをあきらめてはいけません。宮崎様の書かれたことを私はポイっと捨てました。EWI使いになる夢は諦めれませんからね!?チョーキングしないギタリストだっていっぱいいるじゃないですか!

 

※なお特にアナログイミュレーターの4000の音の場合、最初からビブラート(笑)がかかっているようなウネウネした音も多く、あまり奏法でビブラートをかけることに情熱を燃やしても意味はなさそうです・・・

 

むしろ、ピッチベンドやグライドで表現したほうが良さそうです。これについてはまた別の回で→というかまだ練習していない><;

 

スタイナーさんが考えたせいで草食日本人には厳しい楽器になったか

さて、さらに何で強く噛むとビブラートがかかるような設計になっているか、そもそもなんで構えるのに歯で支えなければならないんやねん・・・重い楽器なのに・・・

 

というところで思い当たるのが、EWIの元となった楽器は、ナイル・スタイナーさんというトランぺッターの方が設計したそうで、最初は手作りで作っていましたが、人気が出たため、AKAIに生産を委託したという経緯があります。

 

ということは、スタイナーさん、どこの人かはっきり分かりませんが、名前から言ってドイツ系ですね。きっと体が大きくて肉食で歯が丈夫(笑)なのでしょう。

 

歯で楽器を支持することにあまり抵抗がなかったのでしょうか?もし最初から日本人が設計していたら違うんじゃないかな、例えば、右手親指のプレートは機能が何もありませんが、あそこを押したり、なでなでしたりするとビブラートがかかる、とか日本人が考えればできそうです。

 

あとそもそも、EWI大きくて重すぎます。重量感があるのがやりたい人は本物のサックスをやればいいわけです。「簡単はじめてガイド」で吹ている写真の女の子、まるで大根をくわえているようです。

 

クラリネットくらいの細身は無理でも、もうちょっと小さくならなかったのでしょうか、Cを出すのに重要な右手の小指のキー(k13)と薬指(K10)の間も離れすぎじゃないですか?

 

手の小さい女の子もこんな薬指と小指ガバッと開きますかね?

 

いろいろと大味なEWIなので体には気をつけて慎重に

さて、いろいろと肉食で大味なEWIですが、逆にいうと男らしい(?)というか武骨というか、金属的でカッコいいという気もします。最近ローランドから出たライバルの「エアロフォン」が流動的な、もしかすると後発のメリットでもっと人間工学的なデザインを取り入れているのと比べると、EWIEWIです!文句ありますか!?という存在感がドーンとあります。

 

10日くらい練習するといろいろ文句を言いたくなるところも出てくるわけですが、キャンディー・ダルファーというオランダの女性サックス奏者EWIを吹きますので、女の子が吹けない、ということはなさそうです。

 

※手の小さい方は、楽器屋で手に取って、特にCの音を出すためのK13という一番下のキーに小指が届くか、試したほうがいいかもしれません。

 

そんなことで、マウスピースの咥え方、実は公式ガイド通りでない、伝統的なサックス・クラリネットの吹き方のほうが、長く続きそうだということが分かりました。

 

慣れてくればいつか歯で甘噛みする日が来るのかもしれません。私は歯が小さい割に顎の力が強いと歯医者に注意されているので、おそらくずっとやらないと思います。

 

また伝統的なくわえ方のほうが、次回説明する横からの息抜きも楽です。

それでは、みなさん、体には気をつけて、楽しいEWIライフをお送りください!

 

※なお、偉大なソニーロリンズはしょっちゅう歯医者さんに行くそうです。伝統的な吹き方でも彼くらいの強烈なブローだと歯にくるということでしょう・・・

 

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